今頃の雨
四季折々の気候から生れた日本人独特の感性は、雨を楽しむ事により、
雨の日の憂鬱な気持ちを克服してきました。
英語では雨はrain、霧雨はdrizzle、土砂降りはhard rain、嵐はstorm、せいぜいこの程度の違いでしょう。
ところが、日本語では青時雨(あおしぐれ)、青梅雨(あおつゆ)、青葉雨(あおばあめ)、秋微雨(あきこさめ)、
秋さづい(あきさづい)、秋時雨(あきしぐれ)、秋湿り(あきじめり)、秋驟雨(あきしゅうう).......
とにかく数え切れないほどあり、一つづつ微妙に意味合いが違います。
前世人たちは雨を楽しんできたと言う事が分かります。
現代人には、こういった日本人特有の繊細な感性が、失われがちではないでしょうか。
「癒し、ゆとり、ほのぼの、リラクゼーション」と言ったネーミングを目にする事が多くなってきたのも、 現代人に失われかけた何かを呼び戻そうと、心の中で反応しているようにも思われます。
このコーナーでは、四季折々の雨の呼び名をご紹介して行きたいと思います。
台風・颱風(たいふう)
日本・中国・フィリピン諸島に襲来する熱帯性低気圧に伴う猛烈な風。発生地はおもにフィリピン諸島東方海上の島の多いところで、一年中発生するが日本に来るものは、7月から10月に多い。9月は特に多く、二百十日、二百二十日などはこの季節にあたり、昔から厄日とされている。
霧時雨(きりしぐれ)
時雨のように短時間降ってやむ霧雨。霧のかかった状態を時雨に見立てていうこともある。
秋雨(あきさめ)
秋に降る冷たい感じの雨。
秋驟雨(あきしゅうう)
驟雨はにわか雨。夕立を指すこともある。ただの驟雨、夕立はいうまでもなく夏のにわか雨。「秋驟雨」とすると、雨脚の激しさが和らいで感じられる。
雨の名月(あめのめいげつ)
中秋の夜、雨が降ってはっきりと見られない月。その姿を想像したり、雨間にほの見えたりするのを、風情として受けとったもの。雨の月。月の雨。無月。
秋霖(しゅうりん)
初秋ごろに降る長雨。秋の霖雨。
片時雨れ(かたしぐれ)
麓は晴れていても山中で降ることが多い。東風亘「わたくし雨」によると、前方に雨の壁が塞がっていて、奥は猛烈な雨しぶき。手前には陽が溢れている。雨の壁は遠のきもせず追っても来ない。このような雨が「私雨」で、にわか雨の一種だという。片雨ともいい、季節が秋から冬なら片時雨れ。
秋黴雨、秋入梅(あきついり)
秋の長雨。秋の長雨の頃となる事。「入梅」は(露入り)で梅雨に入る事を言います。
粉糠雨(こぬかあめ)
米ぬかのように細かい雨の事。「霧雨」(きりさめ)霧のように細かい雨と同じ意味。
秋湿り(あきじめり)
秋の頃、長く降り続いて湿りがちな事。また、その雨。
秋時雨(あきしぐれ)
晩秋のころ、晴れた空が急に曇って雨が降り出し、間もなく晴れ、やがてまた曇って降り出すというように、定めなく時々降り出す雨。「時雨」は冬の季語。
秋の村雨(あきのむらさめ)
秋から冬にかけて断続的に降る驟雨。「村雨」は夏の季語。秋を冠して季節を特定しています。
通草腐らし(あけびくさらし)
新潟県佐渡地方のことば。秋の長雨。長雨が通草の実を腐らせてしまう事から言われる。
雨冷え(あまびえ)
雨が降り寒さを感じる事。秋の季語。梅雨時の雨で寒さを感じる事を梅雨寒(つゆざむ)と言う。
涙雨(なみだあめ)
涙ほどの少量降る雨。深い悲しみの涙が降るように感じられる雨。後者に「梅若の雨」「曽我の雨」等がある。葬式の時に降る雨を言う事もある。
【参考文献】
「広辞苑」(岩波書店)
「広辞林」(三省堂)
「日本大歳時記」(講談社)



